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牛女のときおり徒然草
気ままにカフェ小噺

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  • 季節織工房オープンに寄せて (5/3/2022)

    季節織工房オープンに寄せて

    by牛女

    蜂の一生とハチミツ

    ミツバチの社会は一匹の女王蜂を中心としたアマゾネス社会です。

    群れで選ばれた女王蜂の寿命は越冬できれば3年から5年、毎日1000~2000個の卵を産みます。卵のうちの80パーセントくらいが雌で、蜂の社会で働き蜂はすべて雌。一匹の働き蜂の寿命はたったのひと月しかありません。

    そんな働き蜂の一生を追ってみましょう。

    蜜蝋で作られた小さな六角形の部屋で、卵から産まれた幼虫が羽化すると、もう立派なお嬢ちゃん。さっそく自分の生まれた部屋のお掃除をはじめます。これは後で蜜を詰めるため。そして三日もすると、ローヤルゼリー分泌腺が発達してきます。このころのお嬢の仕事は後から生まれる幼虫たちに花粉と蜜を混ぜた幼児食を食べさせてお世話をしたり、せっせと女王蜂にローヤルゼリーを食べさせることです。

    女王蜂はローヤルゼリーゼリーを食べることで抜群の繁殖力と長い寿命を得るため、ローヤルゼリー以外は一生口にしないのです。

     お嬢が成長して姉御くらいになると、今度はおしりのほうにある分泌腺から蜜蝋が出るようになるので、それを固めて新しい部屋を増築します。

    さらに女盛りを迎えるころ、これまでローヤルゼリー用のたんぱく質を分泌していた分泌腺から、花の蜜のショ糖を分解する酵素を出せるようになります。先に大きくなった姉さんたちが花から集めてきた蜜に酵素を混ぜ、六角形の部屋に詰め込み、さらにそれを羽で仰いで乾かす。女盛りを大家族の食糧づくりに捧げるわけです。

    そして女盛りを過ぎるころになると巣の入り口に立ち門番となります。外敵が来たら仲間に知らせ、真っ先に戦うだけでなく、常に巣の中に風が入るように羽を動かし続け、蜂蜜を乾かしていきます。ここで命を落とすことも少なくありません。

    生まれてからここまでで、だいたい三週間くらい。

    美魔女のような熟女になるころ、この時点で残りの寿命はあと一週間。

    この一週間は毎日外に出て飛び回り、花から吸った蜜をお腹のあたりの蜜胃に入れて持ち帰り、幼児食用の花粉は足に付けて持ち帰ります。

    熟女蜂が持ち帰った蜜を妹分たちが酵素と混ぜて乾かし、巣の中で食糧として保管する。

    こうして一匹の蜂は一生かけてティースプーン一杯のハチミツをつくりだすことができるのです。

    自然界が生み出した優れた社会構造の連携作業によって出来上がる貴重なハチミツ。それを私たち人間は、掠め取っているわけですから本当に蜂さんありがとうと、感謝の気持ちでいっぱいになります。

    ところで、アマゾネス社会で約20パーセントくらいの確立で生まれる雄蜂はどうしているのでしょうか?

    雄蜂は一人前になるまで姉さんたちに育てられ、巣からでたら他の群れの女王と交尾するというのがたった一つの役割です。哀れにも交尾すると死んでしまいますし、交尾予備群の雄も冬越しを前に口減らしの為に巣から追い出され餓死することもあるそうです。

    なんとも切ない雄蜂の一生ですが、それでもなくてはならない存在です。

    自然界に生きる者には、それぞれに生きる術を与えられている。

    人は高望みしすぎていると思えてなりません。

    そんなにことを思いながら蜂さんからのおすそ分け、パワーたっぷりの貴重なハチミツを季節織工房で提供させていただいております。

    どうぞ皆さんそんなことを感じながら、おいしいハチミツを楽しんでいただけたら幸いです。