牛女のときおり徒然草

- 徒然草 卯月、皐月の頃 (5/11/2025)
徒然草 卯月、皐月の頃
春は三寒四温と言う。それにしてもこのところの寒暖差は激しく、脳が予測しきれないから身体も対応できず不調になっている。花粉なのか埃なのかわからないけれど鼻がグズグズして気持ちが悪い。
ずっと人間は自然の一部だと思ってきた。でも最近、人間はもうすでに自然界から脱落してしまったのではないかと思うようになった。
人間はより良く生きるために次々と新しいものを作り出す。生きるだけなら必要ないものまでどんどん作り出す。それは自然を破壊し、かつ再生不可能な物質をたくさん作り出すし、生活動することによるゴミは莫大な量になり自らを苦しめている。
アンデシュ・ハンセンの「ストレス脳」という本を読んだ。人間の脳と身体は狩猟採集民の時代からあまり進化していないらしい。びっくりしたけれど、どおりでと納得もできる。
脳が自分の命を守ることのみ考えるならば、世界中の人が、それぞれに「今」をよりよく生きるだけになる。
生き延びた人が次の時代をつくるから、先のことなんか考えないで環境を破壊し、戦争して奪い合い、結果、人類はほろびてしまうかもしれない。
それとも脳だけが発達して身体が退化して、クラゲ火星人みたいになってしまうのかもしれない。
かく言う私も毎日、掃除機も洗濯機も冷蔵庫もエアコンもなければ生きていけないから、仕方ないかな? とりあえず今、戦火の国にいないだけ幸せなのかと思ってしまう。
そんな毎日の中で、この間カフェのお客様がこんな話をしていた。
先祖代々の墓がいっぱいになってしまったので曾祖父の骨壺を開けてみたらきれいな水になっていたと。微生物が骨を分解してくれたから、微生物のお蔭様だそうだ。
何だかちょっと嬉しくなった。
土があって微生物さんがいて長い年月があれば、人間は土に還れる。生命体としてはまだ、自然の循環の輪に入れるのだ。私は土に還ることができるんだ。
私は死んだら土になりたい。
では、何をしたら私は土になれるのだろうか?
それは、もしかしたらなのだけれど、「うしろを向いて歩くこと」かもしれない。
ほとんどの生物が前しか見えなくて、進化することしかできない。
ゴキブリを殺虫剤で殺せば、しばらくしてその殺虫剤に耐性にあるゴキブリが出現する。進化は永遠の「いたちごっこ」だ。でも生命体のトップの人間は過去を把握することができる。何をしたからどうなったか知ることができる。核兵器を作ってどうなったか? 森林伐採をしてどうなったか? 地震や津波でどうなったか? 歴史をただの知識にせず知恵として、ほんとうの幸せの形真の幸せを模索して、必要であれば少し退化してみてもいいのではないか?
やってみれば月に行くとか火星に行くとかよりはたやすいのではないか、なんて満月少し前の月を眺めて考えた。
- 蜂の一生とハチミツ (5/3/2022)
蜂の一生とハチミツ
by牛女
ミツバチの社会は一匹の女王蜂を中心としたアマゾネス社会です。
群れで選ばれた女王蜂の寿命は越冬できれば3年から5年、毎日1000~2000個の卵を産みます。卵のうちの80パーセントくらいが雌で、蜂の社会で働き蜂はすべて雌。一匹の働き蜂の寿命はたったのひと月しかありません。
そんな働き蜂の一生を追ってみましょう。
蜜蝋で作られた小さな六角形の部屋で、卵から産まれた幼虫が羽化すると、もう立派なお嬢ちゃん。さっそく自分の生まれた部屋のお掃除をはじめます。これは後で蜜を詰めるため。そして三日もすると、ローヤルゼリー分泌腺が発達してきます。このころのお嬢の仕事は後から生まれる幼虫たちに花粉と蜜を混ぜた幼児食を食べさせてお世話をしたり、せっせと女王蜂にローヤルゼリーを食べさせることです。
女王蜂はローヤルゼリーゼリーを食べることで抜群の繁殖力と長い寿命を得るため、ローヤルゼリー以外は一生口にしないのです。
お嬢が成長して姉御くらいになると、今度はおしりのほうにある分泌腺から蜜蝋が出るようになるので、それを固めて新しい部屋を増築します。
さらに女盛りを迎えるころ、これまでローヤルゼリー用のたんぱく質を分泌していた分泌腺から、花の蜜のショ糖を分解する酵素を出せるようになります。先に大きくなった姉さんたちが花から集めてきた蜜に酵素を混ぜ、六角形の部屋に詰め込み、さらにそれを羽で仰いで乾かす。女盛りを大家族の食糧づくりに捧げるわけです。
そして女盛りを過ぎるころになると巣の入り口に立ち門番となります。外敵が来たら仲間に知らせ、真っ先に戦うだけでなく、常に巣の中に風が入るように羽を動かし続け、蜂蜜を乾かしていきます。ここで命を落とすことも少なくありません。
生まれてからここまでで、だいたい三週間くらい。
美魔女のような熟女になるころ、この時点で残りの寿命はあと一週間。
この一週間は毎日外に出て飛び回り、花から吸った蜜をお腹のあたりの蜜胃に入れて持ち帰り、幼児食用の花粉は足に付けて持ち帰ります。
熟女蜂が持ち帰った蜜を妹分たちが酵素と混ぜて乾かし、巣の中で食糧として保管する。
こうして一匹の蜂は一生かけてティースプーン一杯のハチミツをつくりだすことができるのです。
自然界が生み出した優れた社会構造の連携作業によって出来上がる貴重なハチミツ。それを私たち人間は、掠め取っているわけですから本当に蜂さんありがとうと、感謝の気持ちでいっぱいになります。
ところで、アマゾネス社会で約20パーセントくらいの確立で生まれる雄蜂はどうしているのでしょうか?
雄蜂は一人前になるまで姉さんたちに育てられ、巣からでたら他の群れの女王と交尾するというのがたった一つの役割です。哀れにも交尾すると死んでしまいますし、交尾予備群の雄も冬越しを前に口減らしの為に巣から追い出され餓死することもあるそうです。
なんとも切ない雄蜂の一生ですが、それでもなくてはならない存在です。
自然界に生きる者には、それぞれに生きる術を与えられている。
人は高望みしすぎていると思えてなりません。
どうぞ皆さんそんなことを感じながら、おいしいハチミツを楽しんでいただけたら幸いです。
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