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体がいちばん大切だから

vol.03 ニコチン依存症とその治療

煙草が止められない人はまだ多く見受けられます。
なぜやめられないのでしょうか?
それは、ニコチン依存症という病気になっているからです。依存症というのは身近な例ではアルコール依存症がありますが、催眠剤、抗不安剤などの薬物や、麻薬などの依存症もあります。

ニコチン依存症のメカニズムと煙草の害

煙草の中のニコチンは、どのように依存症を形成するのでしょうか。
肺から吸収され、数秒間で脳内に達したニコチンは、脳内報酬回路に本来ある神経伝達物質の代わりに刺激を与え、快感や報酬感を感じさせます。手軽に満足感が得られるので癖になります。
さらに長期に喫っていると、ニコチンが入ってこないとイライラする状態、つまり禁断症状が出ます。そして、より多くのニコチンを必要とするようになります。このような依存形成のメカニズムはアルコールや薬物も同様です。
もちろん、ニコチンは身体に害をもたらしますので健康のためにやめたほうがいいです。煙草の害については言うまでもありませんが肺がん、喉頭がん、食道がんなどの発がん物質でもあり、心筋梗塞や動脈閉塞症など血管毒でもあり、喘息や肺気腫など呼吸器の慢性病の原因でもあります。また、皮膚では、しわ・色素沈着・白髪・脱毛を来し、歯や歯肉の着色・歯周病・口臭の原因などにもなります。
アメリカではすでに煙草が病気を引き起こしたとして全米30州からたばこ会社が訴えられ、30兆円を支払うことになっています。日本の医療経済研究所によれば、喫煙による健康被害や欠勤による労働力損失などを合わせて年間7兆円ほどの損失があり、たばこ税収年間2兆円を差し引いても国としての損害は毎年5兆円あるとのことです。

禁煙の方法

さて、禁煙の方法ですが、それは「やめよう!」と一念発起することから始まります。
そしてまず、煙草やライター、灰皿などの喫煙道具を捨てます。それから喫煙の習慣と結びついている習慣を変える、例えば、宴会の時に喫いたくなるなら宴会を避ける、満腹になったら吸いたくなるなら満腹を避ける、コーヒーを飲むと同時に喫いたくなるならコーヒーをやめるなど、習慣的行動を変えることです。
喫いたくなったら、7~8分間我慢すると、喫いたい気分が治まることもあります。喫いたいときに別のことをするといいです。例えば冷たい水をコップ一杯、がっと飲むとか、歯磨きをするとか、体操をするとか、深呼吸をするとか、ランニングをするなどです。
気楽に禁煙を続けるように、「今日1日だけ禁煙をしよう」と考えること、それを毎朝繰り返せばいいのです。
また、自分にご褒美を上げることもいいことです。たとえば1週間禁煙できたら、自分のために買いたかったものを買うとか。周りの人を巻き込んで禁煙に協力してもらうのもいいです。
クリニックに受診して禁煙補助薬を処方してもらうのもいい手です。禁煙補助薬は脳内のニコチン受容体に結合し、禁煙の禁断症状を軽くします。喫いたい気持ちを抑えます。

牛女の一言

実は私も元スモーカー。禁煙と喫煙を繰り返すこと十数年、長嶋先生の禁煙外来にも何度かお世話になり、どんよりしていたのですが、突然霧が晴れたようにやめることができました。最近は不思議と吸いたくなることも全然なく、人の煙で具合が悪くなるほど…。過去こんなに人に迷惑をかけていたのかと思い反省しております。
「喫煙は個人の勝手!」と言えないところがつらいところ、自分のためにも人のためにも煙草さんとは縁をきらねば。今禁煙試み中の方ぜひ頑張ってくださいね。

世田谷区太子堂にて神経内科・内科・訪問診療(在宅医療)クリニックを開院。
皆様のホームドクターとして、高血圧、高脂血症、糖尿病などをはじめとする
生活習慣病の予防・治療から、脳梗塞や難病などで寝たきりの患者の在宅療養支援まで、
地域に密着した医療を目指しています。
お気軽にご相談・ご来院ください。
ながしまクリニック 内科・神経内科

院長 長嶋 勝
〒154-0004 世田谷区太子堂3丁目38-18
アパートメンツ三軒茶屋1階
Tel:03-5433-3818
http://www.nagashimaclinic.jp

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